住宅システムの再編は、暮らしに関わる広範な領域の市場化というトレンドのなかで進んだ。新自由主義の政策再編は二〇〇〇年代後半には失速した。経済成長の停滞のもとで、市場経済の規制を緩める政策は社会の安定を損ない、その推進に対する支持は減退した。ネオリベラルの政策転換が明示的に進んだのは、一九九〇年代半ばからの約一〇年間であった。しかし、新自由主義は住まいの新しい条件を形成した。住宅政策の「三本柱」は解体し、住宅システムの制度体系はすでに市場化した。
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ひとたび転換した住宅システムは旧来の状態には戻らず、「三本柱」は再現しない。新自由主義の政策再編が失速したとはいえ、市場化した住宅システムを運営する政策方針に変化はみられない。企業セクターの福利厚生制度は、住宅システムの要素を構成していた。しかし、企業社会の環境の変容のもとで、フリンジ・ベネフィットの見直しが進み、住宅領域の福利厚生制度は縮小した。政府セクターの「三本柱」の後退に加え、企業セクターの住宅制度が縮小したことは、住宅システムの市場領域の拡張に結びつく。住宅総戸数に対する給与住宅の戸数割合は減少し、二〇〇三年では三%にすぎない。