「?カシミール産」宝石商でさえ羨望の的であるカシミールサファイアは、幻のブルーサファイアと呼ばれ、現在、インドとパキスタンが領土権を巡って紛争中のヒマラヤに近いカシミール地方で産出されます。このため、今では1900年前後に作られたアンティーク・ジュエリーにわずかに見ることができる程度です。一般的にコーンフラワー(矢車草)ブルーと呼ばれる、柔らかい光沢を放ち、紫がかって若干白みも見られる優しいブルーと直線的な色帯(カラーバンド)が特徴であり、産地特定のヒントにもなります。通常、加熱処理はされていません。今日では、アンティーク・ジュエリー以外にはほとんど入手不可能です。「?ビルマ(ミャンマー)産」ビルマのモゴック地方では15世紀以前から採掘されていますが、現在では、ほとんど採掘されておらず、幻の宝石となりつつあります。美しい透明感のある、わずかに紫がかっか濃いブルーが特徴で、比較的大粒のものが産出されます。内包物にはシルクや棒状結晶が見られることも多く、高品質の原石は通常、加熱処理はされていませんが、品質の落ちるものの大半は加熱処理を施されます。「?スリランカ(セイロン)産」紀元前から宝石の宝庫として、現在まで多様な宝石を産出するスリランカ。このインド洋の小さな島から産出するブルーサファイアが、今日では市場で見られる美しいサファイアの大半を占めています。以前は淡いブルーで透明度が高く、輝きの強いのが特徴でしたが、今日では「ギウダ」と呼ばれる、人間に例えれば未熟児のような、薄いベージュのサファイアの原石に加熱処理することで、ビルマ産に近い美しいブルーサファイアに変身します。そして、この美しさは半永久的に変わらないとされています。ビルマ産との見分けは非常に難しいのですが、若干、青みが薄いという点と、弱い光を当てても、カシミールやビルマと違い、美しく輝き、ブルーが映える点です。加熱処理されていないものは淡い青色で、色ムラが多く見られ、シルクインクルージョンが多く発見できるのも特徴です。「?マダガスカル産」1960年にフランスより独立した、アフリカ大陸の南東に浮かぶ「奇跡の島」と呼ばれるマダガスカル島は、近年、宝石の宝庫スリランカを凌ぐ“宝石の島”として脚光を浴びています。現時点では、大粒のサファイアの産出は少ないのですが、カシミール産、ビルマ産に似たものも産出し、今後の注目株といえます。他のファンシーカラーのサファイアの産出も多く、加熱処理や加工技術の向上により、日本の宝石業界の常識を覆すような新種・珍種も市場に現れ、業界では物議を呼ぶ産地でもあります。「?タイ(カンチャナブリ)産」『戦場に架ける橋』で有名なクワイ川鉄橋に近い、カンチャナブリで産出されるサファイアは、暗青味色にグレーがかった色合いで、人気も今ひとつでしたが、近年、加熱処理技術の進歩のお陰で、若干グレーがかった美しいブルーサファイアに変身し、人気も高くなりつつあるようです。「?カンボジア(バイリン)産」タイとカンボジアの国境に位置するバイリン産のサファイアは、1960年頃までは世界に供給される半分を占めていましたが、暗青色で輝きの鈍いものが多く、現在では人気も低くなってきています。「?オーストラリア産」ニューサウスウェールズ州のインペレルで産出されますが、暗い色合いでグリーンやグレーがかったサファイアが多く、宝石用としてよりも、数千円で売られるアクセサリー用としての用途が多いようです。「?その他」米国のサンタモナ、ナイジェリア、タンザニアなどでも産出されています。